ガラパゴス化という言葉があるよ…
AI画像生成とイラストレーターの今後の関係性は?著名人の意見をピックアップ!

AI画像生成の技術はどんどん飛躍しており、2022年はAIイラストレーターという言葉がはやるほどでした。AIの画像作成をイラストレーターはどう見ているのでしょうか?著名人の見解をピックアップしつつ、今後AI画像生成とイラストレーターの関係はどうなっていくのかを解説します。
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新しい技術が登場すると必ず批判の声が挙がる
新しい技術が登場する時は、必ず批判の声が上がります。
何故なら、技術の便利さや効率化よりも先に人間の感情が大きくかかわってくるからです。たとえばAI画像生成の場合、絵を描くというのは非常に工程も時間もかかるのに、AIを使うことで時短や効率化をして簡単に絵を生み出せるのが受け入れられないといった感情ではないでしょうか。しかし、こういった感情は技術の進歩や利便性、正しい認識による使い分けなどにより時代とともに薄れていくものです。たとえば、世界の姿をそのまま記録してしまう写真という技術が生み出された時も、写実的絵画技術追求の労力を冒涜するものだと批判の声があがりました。
しかし、写真が世の中に広まっても絵画は衰退することなく、世界中に溢れかえっています。何故なら、世の中には完璧で世界の姿そのままの美しい写真画像が欲しい人もいますが、そのイラストレーターが絵に込めた想いやそのイラストレーターが描いた絵画だからこそ欲しいといった人も存在するからです。
また、写真は現実を記録する非常に貴重な価値を持つ道具であり、絵画は手段というように意味と価値をそれぞれ持っていると正しく認識した人間は、それらを臨機応変に使い分けることが可能だからです。
AI画像生成も写真と絵画のように「人間が使う道具である」と使い分けられる存在であり、AI画像生成の画像が好きだという需要によりデジタルイラストに「AI画像生成」というジャンルが追加されつつあります。おそらく30年後には漫画やイラスト作成などにおいて一般的に使用されているツールになっているのではないでしょうか。
新しい技術が登場しても適切に使いこなせる人が有利になる
漫画の場合、スクリーントーン導入時になるべく使わないほうがいいという意見がありました。その理由は、描き込みの努力を惜しむことになるからだそうです。現在、スクリーントーンを使用したり、パソコンで3Dデッサン人形などのパソコンソフトを使用することで漫画背景やキャラクターポーズを制作しても「手を抜いている、ずるい、描き込み料量が足りない」といった意見は出てこないでしょう。
スクリーントーンやソフトを使って絵や漫画を描くということは、便利で効率的なだけでなく、同じ素材であっても使い手のセンスの差でうまい・ヘタの明確な差が出るからです。
AI画像生成も同じであり、同じものを使用しても適切で的確な指示を出すことができる人が有利となります。
実際の著名なイラストレーターさんのAI画像生成に対する意見
実際の著名なイラストレーターさんのAI画像生成に対する意見をご紹介いたします。
漫画家・イラストレーターとして活躍している七瀬葵は過去のスタイルに固執せず新しいツールを使いこなす姿勢でAIを使ったイラストをTwitterに投稿しました。すると賛否両論な意見が寄せられ、長年ファンの人達からも否定的な意見があがりました。それに対して七瀬葵は次のようなツイートをしています。
イラストレーターのぬこー様ちゃんはAIと漫画に関して「デジタル作画の延長でありツールだと捉えている」ようです。Twitterに次のような漫画を挙げていました。
AIと漫画の将来について描きました
〜AIイラストレーターも少し添えて〜 pic.twitter.com/JrIij9AwjL— ぬこー様ちゃん@絵日記毎日18時更新 (@nukosama) October 6, 2022
というわけで僕、AIに関しては
デジタル作画の延長と捉えてます。
ツールです。大御所ほど導入するメリットありそうなので、
これを機に人間のアシスタントさんは激減するんじゃないかな。
※個人の感想ですそしてそんな人間が描いた絵日記がこちらですhttps://t.co/rvHughkjnw
— ぬこー様ちゃん@絵日記毎日18時更新 (@nukosama) October 6, 2022
参照:togetter「漫画家はAIに乗っ取られる運命なのか…漫画家さん張本人が今後の展開を予測したらなぜか最高の結末になった『これ採用してくれ頼む』」
「コミックくまモン」の作者であるサダタローさんもAIに関して「技術の進歩はもはや止めようがないと思います。AIの進化は画力に自信がない人にとって有益なツールとなり、すでに創作活動をしている人にとっては背景などを描く手間を省けるなど作業効率化に貢献してくれるでしょう」と漫画で述べています。
画像元:テクくら「画像生成AIは悪なのか? マンガ家の端くれが思うこと」
「確かにボクらが時間をかけて培ってきたスキルを短時間で学習されて、その学習データから高水準なイラストが生み出されるのは感情的な部分として複雑です。理屈では歓迎したいですが、AI画像生成画像を創作物として商売をしているのを目にすると良い気がしないのは人間の心理問題だと思います」と延べ、その点は様々なルールが決まっていく中で納得できることが増えていくといいなと考えているようです。
AI画像生成はツールでありうまく使いこなすイラストレーターが求められる
今後AIを的確にうまく使いこなせる人が時代的に求められます。
ソーシャルゲームやトレーディングカードのイラスト原案などをAIが描いてそれを人間が加筆修正するようになれば、大幅なコストカットにつなげることができ、ゲームの内容次第では面白いとヒットするかもしれません。もうすでに小説家自身がプロンプトを練り上げて理想の表紙と全ページに挿絵をAIに出力させて販売している方もいらっしゃいます。
AIはどんどん進化して、人間が何時間もかけて学習・習得してきた技術や流行りの絵柄を一瞬で出力します。ただ流行りのきれいな絵が描けるだけで絵に対する情熱や個性が特にない大勢の中で埋もれているイラストレーターは、AI画像生成の技術に負けてしまう未来が待ち構えているといっても過言ではないでしょう。
ではAIとイラストレーターは共存できないのか。それは違います。AI画像生成はあくまである程度理想通りに仕上げてくれるツールであり、手がおかしかったり、顔はかわいいけど足が四本生えていたりとまだまだそれ単体で完結するものではありません。特に漫画を描かせるとなると一気に作画崩壊します。そのため、完成させるためにはおかしい箇所を修正してくれるイラストレーターや漫画家の存在が必要不可欠です。イラストレーターや漫画家がAIを適切に使いこなし、出力画像を手直ししたり参考にしたりすることで時短になり効率的に作画が完成するでしょう。
ただ、AI画像生成は非常に便利で効率的に絵を作成できますが、学習本となるデータの著作権や生成画像が著作物に酷似している場合、著作権侵害に訴えられるなど、まだまだ問題は山積みです。イラストレーターの仕事を脅かすのは、AIの存在ではなくこの問題の方かもしれません。
また、AIにはi2i(Image to Image)(画像を指定して画像を出力する)という機能があり、イラストレーターが描いた絵をi2iして、自分がAIで作成したとTwitterに掲載する人も出てきています。
七瀬葵さんもその被害にあったようです。イラストレーターが描いた絵を自分が描きましたといって無断転載する事件は昔からよくありますが、AIでも起こり得るのかと思うと少し苦々しい気持ちです。
まとめ
AI画像生成の画像は学習データ元の著作権や手や足、マンガ表現がうまく反映されないなどといった問題を抱えていますが、それも時代が進むに連れて解決されていくでしょう。今後絵が描けない人でもAIを利用することで画像を生み出すことができ、イラストレーターも絵を描く作業が効率化・時短化されていくでしょう。
ただし、使いこなすことで悪用する人も出てくることも念頭に置いて、AIは絵を描く補助道具であり、うまく使いこなすことをオススメします。
この記事を書いた人:赤堀堂馬(あかほり どうま)
大阪育ちのWEBライター。小説やイラスト、動画作成、ハンドメイドなど様々な創作活動を行っている。色んなところにアンテナを張ることで、様々な視点を持ち原稿を書いている。ポメラニアンが好き。