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AI利用が漫画家を助ける可能性とは?実際にAIを作画に利用している漫画を紹介!  

2022年はAI画像生成元年といわれており、非常に美麗で高品質なAIによる絵が世の中に広まっていきました。これにより、絵が描けない、苦手な人でも、AIを使うことで漫画やイラストを作成できる時代が到来したといえるでしょう。では漫画家にとってAIを利用した作画はどうなのでしょうか。今回はAI画像生成を使って漫画を描いているものを紹介し、実際に絵がヘタクソな人でもAIを利用して漫画が作れることを証明します。

 

えいちぜろなさんの「僕の彼女はAI作画」

2022年10月28日に、えいちぜろなさん(@h071019)は「僕の彼女はAI作画」を投稿しました。この作品は手書きで描かれた男子学生「手垣」とNovelAIで描かれた「彼女」が登場し、デジタルとアナログが融合した漫画です。作中には指の数が増える、手の形がおかしい、登場する度にキャラの特徴にズレが生じる、ラーメンを箸で食べれないなど、AI画像生成あるあるが盛り込まれていて、AI画像生成を触ったことがある人は思わず「わかるー」となるのではないでしょうか。ストーリーはめちゃくちゃおもしろいというわけでもないのですが、AI画像生成をネタとして活かしていて思わずくすっと微笑ましくなる作品です。

画像元:Real Sound テック「AI&アナログ作画の漫画はどのように作られた?」

 

えいちぜろなさんはインタビューでAI画像生成の作品をたくさん見てきて、自分の作品に積極的に取り入れていきたい画像がたくさんあったので、AIと二人三脚をして自分の中から出てこない発想をもらうくらいの気持ちで作品を作れるようになっていくのが一番なのではと伝えました。また、AI技術が新たな面白い作品を生み出す方向に発展していき、そういった作品を発表したいと言っています。

 

初見友博士さんの「竜と魔女」

Twitterで見かけたのですが、初見友博士 – AI絵師・AI漫画家(@Hatsumi106164)さんという方が、NovelAIで「竜と魔女」という漫画をジャンプルーキーに投稿していました。

参照元:ジャンプルーキー!「竜と魔女」

 

TEZUKA2020プロジェクトによって制作された漫画「ぱいどん」

実は、AIの力を使って漫画が作られたケースがあります。2020年2月27日に発売されたモーニングに、”手塚治虫らしさ”を学習したAIを活用して作成された漫画「ぱいどん」が掲載されました。

ぱいどんは、AIはプロットとキャラクターデザインの原案を担当し、シナリオ作成を脚本家のあべ美佳さん、漫画を人間のクリエイターが仕上げた作品です。制作過程では、AIに”手塚治虫らしさ”を学習させるために、手塚治虫の長編65作品と短編131話を、担当者が一つ一つデータ化し、手塚治虫のプロットやあらすじ、世界観や背景をAIに読み込ませていきました。

 

もっとも苦労したのが米NVIDIAが開発した「StyleGAN」を用いたキャラクターの顔画像生成でした。「GAN」(Generative Adversarial Network:敵対的生成ネットワーク)とは、画像を生成するAIと画像を評価する別のAIを敵対させ精度を向上させていくことです。

手塚作品にはブラック・ジャックや三つ目がとおるなど、外見が特徴的なキャラクターが多く、またキャラクターが正面を向いた顔画像が少ないため、AIがキャラクターの顔を正しく認識できなかったのです。数千枚のキャラクター画像を左右反転や角度変更などで2万枚ほどに増やすなど試行錯誤を繰り返しますが、中々うまくいかなかった状況を救ったのが「転移学習」でした。

転移学習とは、学習済みモデルを別の領域に適応させる技術のことです。数十万枚の実写画像を学習させたモデルをベースに、手塚作品のキャラクター画像6,000枚を学習させると、納得いくキャラクター画像が生み出されたのです。

AIが生成した画像を基に人間の作画チームが全身イラストやネームなどを作成、小回りやセリフを担当し、漫画を完成させました。コマ割り、セリフ、全身イラスト作成などもAIに生成してほしかったそうですが、締切に間に合わなかったため、人間の手で完成させたのこと。

制作協力した松原副理事長と栗原教授は、今回のAIによる漫画制作について下記のようにコメントしています。

 

「AIはいずれ、漫画家の発想や作画を支援してくれるようになると思います。漫画制作の全てをAIで担うのは難しいですが、背景を描いてくれたりなどアシスタント代わりにはなってくれるでしょう」(松原副理事長)

「今回のプロジェクトが、AIと人間の共生を考える上での成功例になればうれしいです」(栗原教授)

 

meituを使用して落書きのような漫画を修正してみた

AI画像生成を搭載したスマートフォンアプリ「meitu」には、人物写真だけでなく、簡単に描いた絵を入力すると、AIが新たな画像を作り出す、いわゆる「image2image」と呼ばれるサービスがあります。

元画像が荒かったり、下手くそでも画風を変えたり、精密にしたりして非常に美麗なイラストに変換してくれます。スマートフォンアプリであり、プロンプトを入力する必要がないので非常にお手軽に作成できます。

イラストを美麗にしてくれるのなら、漫画はどうなのでしょうか。

微妙なところもありますが、きちんとコマ割りされたものとなっており、吹き出しもコマ線も認識しています。もっと精度があがれば、荒く描かれたネームをAIで読み込ませるだけで、それっぽい原稿ができあがるかもしれません。AIがネームから作成した漫画をさらに漫画家が手直しすれば、ゼロから最後まで漫画家がすべて原稿を仕上げるよりも時間の短縮にも繋がるでしょう。

実際に漫画家の平野耕太さんはTwitterで自分のラフをAIに読み込ませて画像を生成し、さらに書き加えるということをやっています。

先程の絵を少し修正してみました。その過程は以下のとおりです。

1枚目はあまりに落書き感がぬぐえませんでしたが、meituで生成した画像を下書きにして描き直してみるととても見やすくなったように感じます。

そこまで絵がうまくない人でも、エッセイ風漫画を作成できそうです。ナルコレプシーなど、あまり知られていない病気や症状の認知を広げたいと活動している方にとって非常に心強い味方になるかもしれません。頭の中にあるストーリーに絵をつけるという点で、AIはまさに絵が描けない、上手ではない人の救世主になる可能性があるといえるでしょう。

meituは有料アプリですが、無料トライアル期間中にキャンセルすれば料金が発生しないので、AIを搭載しているスマートフォンアプリの中でもレベルの高い画像生成をお手軽に試すことができます。ただし、その際はしっかりと規約を確認して納得した上で利用することをオススメします。

 

 

まとめ

AIを作画に利用している漫画は今のところ少ないですが、これから漫画作成補助ツールとしてAIを駆使してよりレベルの高い漫画を作成する方は出てくるように感じます。ただし、漫画はどんなに絵が美麗でもストーリーが面白くなければそれは読み物ではなく、ただのきれいな絵で終わってしまいます。ストーリーをAIに考えさせるという手もありかもしれませんが、読み手は人間なので、やはり最後はどういう展開にしてどういう要素を取り入れたらおもしろいと感じるのか、人間が微調整する必要があるでしょう。

しかし、AIにネームを読み込ませたり、背景画像の参考にしたり、すべてではなく一部分だけ取り入れることで、AIは漫画家にとって助けになるツールになっていくのではないでしょうか。「AI✕漫画家」がこれからどうなっていくのか楽しみです。

 

 

この記事を書いた人:赤堀堂馬(あかほり どうま)

大阪育ちのWEBライター。小説やイラスト、動画作成、ハンドメイドなど様々な創作活動を行っている。色んなところにアンテナを張ることで、様々な視点を持ち原稿を書いている。ポメラニアンが好き。

 

 

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