2022年8月に画像生成AI「…
日本発のAI画像作成サイトの最新事情は?ガラパゴスになるのか普及するのか

ガラパゴス化という言葉があるように、日本では外国から来た技術やサービスを魔改造して独自に取り入れるのが得意な国です。日本発のAI画像生成サイトやサービスはガラパゴス化するのか、それとも世界にも普及していくのか。今回は魔改造が得意な日本発のAI画像生成を紹介し、AI画像生成技術はガラパゴス化するのかについて解説します。
Contents
魔改造が得意な日本発のAI画像生成
ガラパゴス化とは、IT技術やインフラ、サービスなどの日本の技術やサービスが世界標準とは異なる形で、周囲とは懸け離れた独自の進化・発展をすることです。たとえば日本の携帯電話など、国内市場に最適化するように高度で多機能であるがゆえに特殊化しすぎて世界市場では売りにくいものを指します。大陸から隔絶された南米のガラパゴス諸島で、生物が独自に進化したことから来ています。
オープンソース化された海外の技術を取り入れて開発された日本のAI画像生成について紹介します。
Trinart Stable Diffusion
Trinart Stable DiffusionはAIよる文章の生成がメインである「AIのべりすと」の「とりんさまAI」を、Stable Diffusion v1.4のアートスタイルを可能な限り引き継ぐ形で、アニメやマンガなどの二次元イラストに特化させた日本産モデルです。
画像引用:コヨイcom(https://koyoy.com/trinart-yabee/)
「AIのべりすと」とは、Googleのツール(TPU Research Cloud)も活用してクリエイターのSta氏が開発したAI小説生成ツールです。Trinart Stable Diffusionは課金制ですが、ツイッターでの「とりんさま AI」は無料で簡単に利用することができます。
とりんさまAIアカウントに向けて「@trinsama お絵かき xxxxxxxxxx」とリプライを飛ばすだけで出力結果のリプライが数分後に返ってきます。
@trinsama お絵かき 上半身 犬を抱っこしたお姉さん ハイネックセーター ノースリーブ 美人 巨乳 笑顔 黒髪ロング
@trinsama お絵かき 上半身 ポメラニアンを抱っこしたお姉さん ハイネックセーター ノースリーブ 美人 笑顔 黒髪
日本語対応でかなりカワイイ絵を返してくれます。
クリエイティブAI 彩ちゃん
クリエイティブAI 彩ちゃんは、cre8tiveAI で提供されている100万種類以上の多種多様な顔イラストをAIに描いてもらえる株式会社ラディウス・ファイブのサービスです。Deep Learningを用いてイラストとはどういったものであるかを学習し、イラストとしてあり得るものを生み出せるようになったAIです。
絵画風やアニメ風など100万種類以上の様々な画風イラストを生み出すことができるので、多様性の高いイラストを生み出してくれます。
画像参照:クリエイティブAI 彩ちゃん(https://ja.cre8tiveai.com/sc)
イラストが提示されるので、自分が好みだと思った絵を選んでいきます。選択したキャラを中心に14体の新しいキャラが描かれるので、好みのキャラが出てくるまで選択を続けていくうちに欲しいキャラに近づいていきます。様々な画風のアイコンが出てくるので、これだと思ったものが出たら確定を押します。240円を課金することでダウンロードできます。
さらに、このアイコンから全身絵を絵師に依頼することも可能です。
画像参照:クリエイティブAI 彩ちゃん(https://ja.cre8tiveai.com/sc)
三面図や表情差分などオプションがありますが、何もなしで進めていくと33,000円で全身絵を絵師さんが作ってくれるそうです。できるだけ最初に選んだ顔のアイコンに近い絵ができるそうですが、どうなるかは届いてからのお楽しみ。ガチャを回しているような感じですね。商用利用や加筆修正が可能、三面図や表情差分のオプション料金もそこまで高いと感じなかったので、後で自分でパーツ分けとモデリングをできる人ならお手軽にVtuberデビューできるかもしれません。AIと絵師が手を組んだサービスなので、非常におもしろいなと感じました。
お絵描きばりぐっどくん
お絵描きばりぐっどくんはLINEで友達追加して利用できる、AI画像生成サービス「Stable Diffusion」をLINEbot化した画像生成サービスです。九州工業大学情報工学部の4年生の西野颯真さん(@nishino_0719)が作成されました。
「お絵描きばりぐっどくん」のアプリを友達追加をした後、描いて欲しい絵の内容を入力するとAIが画像生成してくれます。
肌が露出しているなどセンシティブな画像が生成された場合は「見せられないよ!」と出てくるので、そのときは文章を変更します。
また、Stable Diffusion系の画像モデルを利用しているので、実写系の画像生成が得意ですが、二次元アニメキャラなどの出力にはあまり向いていません。「イラストお絵描きばりぐっどくん」は二次元向きのモデルを利用しているようなので、そっちが目的の場合はそちらを友達登録するのが良いでしょう。イラストお絵描きばりぐっどくんは1日10枚までと制限はありますが、こちらもお題を送るだけでお手軽にAI画像生成を楽しむことができます。
「かわいいお姉さん、黒髪、アニメ、猫耳、メイド服、笑顔、自撮り風」
実写と二次元の間にやってきたのでしょうかという感じです。そしてかわいくない。
「黒髪、かわいいお姉さん、かわいい、自撮り風、笑顔、上半身、アニメ、漫画、少女漫画、美人、タンクトップ」
少女漫画という単語がお姉さんの目を恐ろしいほど大きくしたのでしょうか。ここでもやはり実写風が止まりません。美人ですが、求めているのはこれじゃない。
「黒髪の笑顔がかわいい女性が自撮りをしているアニメイラスト、かわいい、上半身、美人、アニメ風、涼宮ハルヒスタイル、タンクトップ、漫画」
〜しているアニメイラスト、と冒頭に持ってくることでようやくアニメイラストが出てきました。単語だけを入力するよりも、文章にしたほうが反映されやすいようです。
ちなみにプレミアムメンバーになれば枚数無限にお絵かきできるようです。月550円なので、気軽に作れるし入力するプロンプト次第では良い絵が手に入るのでプレミアムメンバーになるのもいいかもしれません。
AIピカソ
「AIピカソ」とは「Stable Diffusion」を利用して、筑波大学発のベンチャー企業・AIdeaLabが開発したAI画像生成アプリのことです。単語や文章を入力すればAIが自動で画像を生成してくれます。
「白いワンピースを着た綺麗な女性、森の奥にある湖、神秘的」と入力するとこちらの絵が返ってきました。確かにこの絵であっているのですが、何か可愛くありません。そこで、中国産の「meitu」というアプリに搭載されている「AIメーカー」を使ってみました。
AIピカソの絵をmeituしてみた( ◜‿◝ )♡#AIピカソ#MeituAI pic.twitter.com/PqkWP02zY7
— 赤堀堂馬@セルフバ美肉とか色々画策中 (@doumaakahori) December 12, 2022
背景も女性もちゃんと二次元の、求めていたものにAIが加工してくれました。meituは画像を入力するだけで、その画像をいい感じに仕上げてくれるAIが搭載されたアプリです。meituは課金制ですが、トライアル期間が7日間あるので気になった方はぜひ。
ガラパゴス化したとしても「好き」は世界を超えて普及する
現在、AI画像生成は英文のプロンプトを研究し入力することで高精度な画像を生み出せるのが主流ですが、今後日本でAI画像生成が進むとしたら、おそらく日本語対応で簡単に操作できるだけでなく、高品質高美麗画像を作り出せるものになってくるでしょう。
もしかしたら、日本人特有の言葉遊びや表現などを学習したAIも出てきて、海外の人には扱いづらいものも出てくるかもしれません。そうなるとAI画像生成もゆくゆくはガラパゴス化していく技術といえるでしょう。
日本に馴染みの少ない海外の人からすると、ガラパゴス化したAI画像生成は少し使いづらいかもしれません。しかし、その感想は、私達が英語でプロンプトを入力しなければいけないAI画像生成と初めて対面したときと同じものです。
私達が勉強して英語のAI画像生成を使いこなしたように、二次元のアニメや日本の技術サービスが好きな海外の人ならば日本カスタマイズされたAI画像生成も使いこなすことができるでしょう。
まとめ
日本発のAI画像生成で気になるものを紹介してきました。
AI画像生成はオープンソース化により、企業だけでなく個人も開発可能になったため、日本発のAI画像生成サービスはこれからもどんどん出てくるでしょう。
画風も二次元のアニメイラストだけでなく、絵画風や写真風のものなど、どんどん日本人好みのものへと改造されていくことでそれほどAI関係に詳しくない人でもアプリを通じて使用するなど、一般層へも普及していくのではないでしょうか。今後の日本発AI画像生成の発展に期待が高まります。
この記事を書いた人:赤堀堂馬(あかほり どうま)
大阪育ちのWEBライター。小説やイラスト、動画作成、ハンドメイドなど様々な創作活動を行っている。色んなところにアンテナを張ることで、様々な視点を持ち原稿を書いている。ポメラニアンが好き。